代表 岡原のブログ

地主系オーナーは、遺産分割時に土地の価値を減らさない

大阪 不動産・相続コンサルティングの株式会社つばさ資産パートナーズ


地主系オーナーに相続が発生した時に、相続人が複数いると、広大な敷地を均等に分割出来るように、評価額を基準にした区画割を行っているケースを見受ける。



均分相続という観点から、一人に遺産が偏らないようにという意味合いや、金融資産が少ないために、土地を分割して相続せざるを得ないということからこのようになってしまう。



では、「不動産価値」という観点から見た場合、どのような考え方で区画割をしていく方が価値をなるべく落とさずに分割が出来るのかを考えてみたい。

例)地主さんが所有している駐車場 460坪

■用途地域は、第一種住居で、60%、300%
■二方道路で、一方は、幅員14mに面する駐車場


■評価額
路線価130万 × 460坪 = 5億9800万円

※計算式を単純にする為、奥行価格補正率、側方路線影響加算率、地積規模の大きな宅地は考慮していません

均分相続の考え方による区画割

Cが、代々の土地を承継していくという前提の中で、他の相続人とも均等になるような考え方で、土地分割を行うと、区画割りと評価額は次のようになる。

※地主系オーナーということもあり、駐車場を一括で売却することが出来ないという前提で検証していく。

A:路線価130万 ×  80坪 =1億400万円
B:路線価130万 ×  80坪 =1億400万円
C:路線価40万  × 300坪 =1億2000万円
※計算式を単純にする為、奥行価格補正率、側方路線影響加算率、地積規模の大きな宅地は考慮していません。


■不動産価値
Cは300坪という広い面積となっているが、幅員4mとなることから、売却時は、戸建分譲業者が候補となることで、時価が伸びない可能性が高い。
(戸建分譲業者となると、敷地内に潰れ地(私道)を造る必要有り)


幅員4mの土地ということで、容積率に制限がかかり、300坪あるにも関わらず、マンション開発業者等が手をだしにくい土地となり、不動産価値を落とすことになる。

300坪の区画が、幅員14mにあればどうだろうか?

Cの評価額:路線価130万 ×  300坪 =3億2000万円
※計算式を単純にする為、奥行価格補正、二方路線影響加算率は考慮していません。


評価額は3億2000万円だが、14mの幅員に接していることから、マンション開発業者等が候補になり、時価で考えると相続税評価以上に、売却金額がUPする可能性が非常に高くなる。



不動産の価値から、区画割を考えると、幅員14m、二方道路の角地側に300坪を持ってくる方が、不動産価値が圧倒的に高まる。



このように、最有効使用の考え方を用いて区画割することで、時価も多いに変わってくる。

ではなぜ、このような区画割をしないのか?

1、遺産分割に偏りが出て均分相続にならないから
地主系オーナーの多くが、長男に資産承継をさせて、代々の土地を守っていきたいという考え方を持っている。


しかし、子どもであれば、長男、二男を問わず、法定相続分は同等であることから、評価額として均等になるような分割を行わざるを得ないので、承継人であるCになるべく土地面積が大きくなるように分割する。



2、最有効使用という考え方で提案する専門家が少ないから
最有効使用という考え方で、区画割りを提案していくとなると、不動産的は発送が必要となる。


しかし、相続の専門家の全てが不動産に長けているわけではないので、最有効使用という発想が出にくいことで、このような区画割となる。

では、どうすれば良いのか

地主系オーナーは、均分相続という考え方では代々の資産を守っていけないと個人的には考えている。


よって、資産承継する人に資産を集中させて、不動産価値の目減りを防ぐ。



そして、争いの未然予防として、地主オーナーが元気な内に、
①生命保険の活用で遺留分対策を行う
②遺言を残しておく
③子ども達に教育をしておく



しかし、ある一人に資産を集中させると、相続人間で不平等が発生するが、資産を守っていくのであれば、この不平等が起こっても、相続人間で少しでも受け入れしてもららえるような対策を事前に行うことが重要だと考えている。



金融資産での補填はもちろんのこと、一番重要なことは、次世代への教育ではないだろうか。



資産を集中させることの意味や意義付けを生前から、次世代に伝えていき、想いを遺言書に書いておくということで、紛争を未然に予防できる対策になると考えている。


土地の区画割には、十分に気を付けて遺産分割を行って欲しい。


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