昨年から相続コンサルを行っている家主さんの収益マンションの売買が
ようやく契約締結に至りました。
母親の相続後、遺言がなかった為、兄弟3人で不動産(自宅、アパート、
マンション)を相続しました。
兄弟3人で売却するという方向性は同じでしたので、自宅、ハイツは
売却を行っていき、最後にマンションが残りました。
このマンション、土地は3人の共有名義で、建物は長男の会社名義と
なっています。また、無償返還の届け出が出されており、地代は低額です。
この地域は第一種低層住宅、借地権割合60%のエリアです。
通常の底地、借地であれば、借地権割合に基づいて評価割合を出すと
いうのが一般的かと思いますが、今回は、このパターンから外れます。
無償返還の届け出を出していることで、底地の相続税申告の評価
割合は、80%です。よって、底地は80%の評価とするのか?
但し、地代を低額で払っていることもあり、民法上では借地権が
認められると思われ、底地評価の80%は果たして妥当かという問題が
残ります。
客観的な判断が出来づらく、3人の間でも考え方に相違がありましたが、
右往左往しながら、不動産鑑定評価を基に判断をするいうことで
ようやく纏まりました。
鑑定評価では、底地は、割合法による底地評価と底地の収益価格を
算出してからの鑑定評価となり、評価割合は約60%。
建物は、積算価格と収益価格からの鑑定評価となり、評価割合は
約40%となりました。
不動産鑑定士曰く、非常にレアな鑑定評価のようでした。
相続税対策で、建物を法人へ移転するという手法はよく使いますが、
土地が親で、建物は子の所有で、相続人が複数存在する場合は、
同じようなケースになることが考えられます。
このような場合は、遺言等で、建物を所有している子に土地を相続させる
という対策をしておくことで、事がスムーズに進んでいくと思われます。
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